ビジネスモデルの類型

◎ 自企業ブランドの確立を推進している。
○ 製造小売まで実施している

1.会社紹介

代表者 山田 英之
連絡先 電話 052-681-7701
FAX 052-681-7704
URL http://www.yamatsuru.com
従業員数 7人
資本金 1000万円
主要事業
主要製品
帽子製造・販売
沿革 大正10年 現社長の祖父の山田鶴吉氏が創業
昭和38年 山鶴(株)設立
平成元年 山田英之氏が社長に就任
平成15年 中国工場(天津)がスタート

社長による自社の分析

2.ビジネスモデルの内容

(1)契機

先々代はストロー製帽子を製造していたが、先代から帽子等の卸売業に転業した。 しかし、卸売専業であることに不安を感じていた現社長は、平成元年に同社を引継いだ後、布帛製帽子の製造に着手した。
また近年は、自社ブランドを冠した帽子の製造や帽子専門のアンテナショップの開設など、より小売に近づいた経営も展開している。

(2)具体的内容

社長は、大学卒業後地元の大手アパレルメーカーに就職したが、昭和57年に同社に入社し、先代社長の死去により平成元年から同社を引継いだ。 その後、平成3年頃から将来を見据え布帛製帽子の製造に着手、平成6年には韓国に事務所を開設した。 さらに、平成15年4月には中国天津で工場をスタートさせ、同年10月には名古屋大須にアンテナショップ「HATBLOCK」(ハットブロック)も開設した。 アンテナショップ開設の動機は、自社で製造した製品を自社で売ってみたいとの想いからである。
また社長は、帽子製造業に進出する過程の中で、自社ブランドを持つ必要性も意識した。 このため、平成12年に「B.E.C.S」(べクス 男性用)、「Neo-Cha-Pa」(ネオチャパ 女性用)の2種類の商標登録をし、 平成16年には帽子愛好家向けのブランド「山鶴」(ヤマツル)を商標登録した。
なお、現在の売上の約7割は帽子の製造によるものであり、約1割がアンテナショップによるものである。 また、当初は量販店で販売される帽子の製造が主力であったが、現在は国内有名アパレルメーカーへ納入される帽子の製造が主力となっている。

「B.E.C.S」ブランドの帽子 「Neo-Cha-Pa」ブランドの帽子 「山鶴」ブランドの帽子
「B.E.C.S」ブランドの帽子 「Neo-Cha-Pa」ブランドの帽子 「山鶴」ブランドの帽子

帽子の製造は、型おこし、裁断、縫製等職人の技術に負うところが多い。 また、感性も要求される。この点について同社は、帽子製造業者としては後発であるため、 パタンナー・縫製等の技術を持つ人材を育成することに苦労した。 しかし、CAD、特殊ミシン等を導入し、これらを使いこなすにあたり職人技といえるまでの技術を社員が身につけることを要求した。 また感性については、英国老舗メーカーの帽子を徹底的に研究し、山鶴(株)流の改良を加えることで研鑽した。
この結果、現在では高品質の帽子メーカーとしての評価を得るまでに至った。

3.成功の要因

帽子を材質で分類するとフェルト、布帛、ストロー、ニットの4種類に大別されるが、同社は、布帛製帽子についてあらゆるものを手掛けている。 このため布帛製帽子に関する様々な技術が蓄積された。 また、帽子製造業者としては後発であるがために、製造の各工程において常に丁寧な仕事をすることを心掛けてきた。 社長は「手抜きをする手法を知らなかっただけだ。」と笑うが、帽子に真摯に取り組んできた姿勢を窺わせる。
帽子の善し悪しはシルエットで決定される。このシルエットを裏打ちするものは正確な技術と感性であり、 感性は正確な技術を習得した上で初めて養われる。 真摯な努力をし、技術力と感性を養ってきた蓄積が、現在の同社の評価につながっていると推察される。
また、社長は地元大手アパレルメーカーでの営業経験から、どのような分野に販売したらよいか、 どのように新規顧客を開拓したらよいか等の営業ノウハウを身に付けており、 このノウハウを生かし帽子製造という新規参入分野においても顧客を開拓してきた。 現在は経営全般を管理しているが、他に営業社員が2名おり、社長指揮の下に奮戦している。

4.今後の課題

アンティークな雰囲気を持つアンテナショップ「HATBLOCK」店内
アンティークな雰囲気を持つ
アンテナショップ「HATBLOCK」店内

現在社長は、品質管理を徹底させるために、経営理念・品質方針・組織形態(営業・企画・生産・経理部門等の仕切り)・工程フロー・ 出荷マニュアル等の策定に取り組んでいる。 大企業相手に自社をアピールするためには、中小企業といえどもソフト面の整備が必要であるとの考えからである。 ソフト面を整備し社員に周知・徹底された後の同社の変貌が期待される。
また、アンテナショップの販売状況の分析にも余念がない。 商品を定番商品、流行商品等に分類し、売れ筋商品を研究し市場ニーズを製品に反映させ、 さらには小売を研究することで将来の多店舗展開の参考とするためである。
基本セオリーである「Plan⇒Do⇒Check⇒Action」を繰り返し実行している社長の経営努力には、小売での躍進を期待させるものがある。

5 他企業へのアドバイス

今後生き残っていく企業は、大企業・中小企業を問わず品質管理をしっかり行うことができる企業である。 品質管理をしっかり行うためには、ハード面の管理も大事であるが、企業を動かす源泉は人であるのでソフト面 (マニュアル等文書化されたもの)の管理も重要となる。 家内工業レベルを脱し経営を刷新するためにもこのことは必要であり、大企業に自社をPRする際にも有効な手段となる。
また、新たな事業に着手すれば当初はなかなか上手くいかないだろうが、そこからがスタートであり、 常に明確な意図を持ち続けることが重要である。

6.ビジネスモデルのフロー

ビジネスモデルのフロー